9月初旬からLINEのオープンチャットを使用し、「ケアマンとケアウーマンと支える仲間たち」内で相談や雑談をしています。
「自由な時間がほしい、話を聞いてほしいが支援希望の上位、氷河期ケアラーの正規雇用再就職率20.6%と孤立に陥りやすい」
LINEのオープンチャットを期間限定ではじめようと思った動機や背景を説明します。
厚生労働省で文部科学省と連携したヤングケアラーに関する調査研究の中で、「大人にしてほしいこと」は、「自由に使える時間がほしい」が男性で13.8%、女性で16.4%。「話を聞いてほしい」が女性で16.7%と上位。
また、若者ケアラー(全国の大学生が調査対象)でも「進路・就職と将来の相談にのってほしい」が28.3%、「自由な時間がほしい」が26.2%とトップです。
さらに、自殺対策の指針となる新たな「自殺総合対策大綱」をコロナ禍で年代別で見ると、「19歳以下」と「20代」の女性や小中高校生の自殺者が11年ぶりに2万1081人(前年比912人増)。若者が一人で問題を抱え込み命を絶つのは切実な問題です。
一方、40代のケアラーに目を転じると孤立しやすい状況になっています。総務省統計局の「平成29年就業構造基本調査」によれば、ヤングケアラーや若者ケアラーの人数54万人に比べ、89万5千人と35万5千人多くなっています。
しかも、就職氷河期世代で新卒から非正規雇用後介護離職し親や祖父母などを介護をする人たちも少なくありません。また、総務省の「介護施策に関する行政評価・監視 -高齢者を介護する家族介護者の負担軽減対策を中心として- <結果に基づく勧告>」によれば、介護後の就業状況は「正規の職員・従業員」は20.6%、「パートタイム・アルバイト」が 53.6%と正規職員の再就職が困難で貯蓄が少ない上に周囲と格差が生じるなどし孤立していきます。
現に、私自身、32歳で介護離職。認知症祖母と脳梗塞の母親の多重介護経験者です。介護当初は同世代に全く介護者がおらず「相談相手」や「仲間」がいませんでした。
開設1か月半経過し、世代固有の悩みが明らかに
LINEのオープンチャットを開設し1か月半が経過しましたが、相談、悩み、雑談内容は多岐で固有の問題であるのがわかります。それぞれの世代に分けて、実際届けられた事例をベースに考えます。
ヤングケアラーは、「ひとり親家庭」が大半で、「家庭環境に問題」と要介護者が「精神疾患」を罹患しているケースが多かったです。
Aさん ひとり親家庭の一人っ子。祖母が認知症。親が介護サービスを利用したがらず、Aさんが幼い頃から大学生までケアを続けている。
Bさん ひとり親家庭。親が精神疾患、きょうだいが重度しょうがいでBさんが1人で2人をケア。親が精神科の通院を頻繁にさぼり、Bさんが通院の付き添いのために学校を度々休む。
若者ケアラーは、「家庭問題」に加え、「経済的に今や将来が不安」な人が目立ちました。年齢的に就職・恋愛・結婚・育児など人生のターニングポイントであり、将来が不安になるのでしょう。
Cさん 親から「(働いているのに)生活費を出す余裕もないお前が母親の面倒を全部みてくれ」と言われ、母をケア。無業状態が長く続き生活費が底をつきフードバンクを依頼。
Dさん ひとり親家庭。認知症の祖母をケアしながら、ケアラー自身が精神疾患を罹患し社会復帰を目指すものの、今後に期待と不安が交錯。
また、30代~40代のケアラー(ロスジェネ世代含む)のケアラーは、「ケアの負担が重い」、「経済的に困窮している」人が多い印象をもちます。
Eさん アルツハイマー型認知症の親御さんを1人で9年間介護し、介護途中に会社の理解が得られず介護離職。貯金を切り崩し、預金がほとんどなくなり先が見えない生活。
Fさん ヤングケアラーが長く続き両親と絶縁。現在、経験を活かし障がい関係の職業に就くものの、今度は姑の介護が必要になり毎月綱渡りの生活。
「日頃の密なコミュニケーションと枠にとらわれない対応」
こうした社会問題やLINEオープンチャットの経験を通して、個々がケアや日常生活の上でもつ「不安」や「悩み」を少しでも迅速に解消する必要があります。日頃の地道なコミュニケーションややり取りがあって信頼関係が構築されてこそ「この人は相談して大丈夫だな」と相手が安心して少しずつ心を開いていきます。
また、時には、介護を忘れる雰囲気づくりやその場の勢いでオンライン・オフラインイベントをはじめることも大切にしようと決意しました。
2022年10月には当日の昼間に私が「ヤングケアラー」に「20歳の誕生日会やらない?」とヒアリングし、「現役ヤングケアラー兼看護女子学生のオンライン誕生会」や「オンラインハロウィンパーティー」が実現。
参加者のヤングケアラーからは私や参加者に「皆さんにバースデーソングを歌ってもらい最高の1年になりそうです。時に相談、面白いこと言って笑ったり、主役が寝落ちしたりとほんとに楽しい一日でした。今後も奥村さんとケアラーさんを支えていける人間になります」と嬉しいコメントがもらえました。
また、2022年11月は、あるメンバーの家庭環境が悪化し、即座に私含む4人でZOOMで話を聞き、傾聴や解決に近づけるように努めました。
今後の支援方針や展望
引き続き「ほぼ24時間体制で相談や雑談を展開する」と共にメンバーのケアや家族などの状況があまり良くない方向の時は、ZOOMやオフラインで極力当日や翌日に解決を図ります。
10~40代のケアラーやその家族が必要とする居場所の模索を続けます。参加者は私、ケアラーとその家族、それを支える人たち(医療者・支援者・公認心理士・行政関係者・福祉関係自営)などです。共に助け合い支えあうオン・オフライン空間を目指していきます。
今後共何卒よろしくお願いいたします。
奥村シンゴプロフィール https://okumurashingo42.com/profile-messege/